「今朝はちゃんと鍵ができたのに、帰宅したところ鍵が奥までささらない。イタズラされた感じです。修理して下さい。」
と、ご依頼をいただいたのですが、お客様相当怒ってらっしゃいます。
鍵にイタズラされて家に入れない。修理で余計な出費がかかるとなれば、それは頭にきますよね。お察しいたします。残念ながらこう いうイタズラは少なくないのが現状です。こういった状況では鍵屋としては出来るだけ早く鍵を修理することが最大の貢献だと思って おります。
ご依頼先は宇都宮市内でも日光市に隣接した少々遠いエリアです。現場に向かう北の空は黒い雪雲が垂れ込んでおり、おそらく那須や 日光の山の上のほうは雪ではないかと思う寒い一日。日光市に隣接しているとはいえ、宇都宮で雪が降ることは稀なので、雪道の心配 はしませんでしたが、どうもまだ宇都宮市と日光市が隣接しているということが感覚的に釈然としません。平成の市町村合併で宇都宮 市と隣接する今市市が日光市と合併した結果、宇都宮市と日光市が隣接した訳ですが、いわゆる観光地の日光は宇都宮から車で一時 間はかかる距離です。宇都宮市民としては、今市市と言われればそう遠くないイメージですが、日光市と言えばちょっと遠いイメージ があり、隣接している市というイメージが感覚的にわかないのです。
そんなことを考えながら現場に到着。車の中で暖を取ってらっしゃったお客様はまだ少々怒りが収まらない様子で、状況説明をしてく れました。鍵穴には接着剤を流し込まれたような様子はありませんでしたが、鍵が途中までしか入りません。鍵の奥になにか詰められた感じがいたします。鍵穴から中を確認すると、奥に木片のようなものが入っているようです。お使いの鍵は日本KABAのKABA Star Neoでした。
しばらくかかりそうなので、お客様にはお車で暖かくしてお待ちいただくようお願いし、異物除去を試みます。これで取れてしまえば よいのですが、取れない場合は鍵を分解して掃除、洗浄とオーバーホールすることになります。今回の異物は動かそうにも全く動かない状態でした。よく見ると木片の一部に樹脂のようなものが見えます。おそらく木片に瞬間接着剤を塗った上で挿入したのでしょう。 かなり悪意のあるイタズラです。こうなるとシリンダーの交換となってしまいます。
お客様に状況をご説明し、作業費をご呈示したところ、「犯人に払わせたい。」と怒ってらっしゃいましたが、修理しないわけにもいかず、そのままご依頼いただきました。
お客様には再度お車でお待ちいただくようお願いし鍵開け、シリンダーの交換をいたしました。
「かなり頭に来たけど、寒さで少し頭が冷えた。鍵屋さんは悪くないのに怒鳴ってしまってすまないね。」
とおっしゃっていただきました。警察に被害届を出すそうで、犯人が捕まることを祈ります。